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  幻影

色褪せた苦悩と薄明の野薔薇
思い出せないほど
深い闇につつまれた
追憶が哀しい星の夜となって
愛情がふりそそぐ
水精を待っている

なんと熱烈なる夢は
真実を語れない
偽りの太陽を閉じ込めて
静かに眠ればいい
そこに運命の悲劇があり
誰しもの情念が流れている

人と永遠
限りなく近い浪漫(ろうまん)
ジュピターよりも(いにしえ)
華々しい神さえも知らぬ
この忌まわしい関係は
秘密半ばの調和を保っている

光と影を飾りのように
遺残した淋しい人は
蜜月を迎える前に
因縁の薔薇を散らす
(おごそ)かな祭りを終えている
傾いた祝宴の(グラス)には
アンドロメダからの
そよ風が吹きぬける